2006年 09月 27日
[原文] 2006年9月27日の公式サイトのNEWS。 Endless Wire official press release Pete自身による新作「ENDLESS WIRE」の曲解説。ところどころ表現が難しく、また後半のミニオペラに関する説明はPeteの小説「The Boy Who Heard Music」を読まないとわかりづらい部分がありました。 FRAGMENTS この曲は私がシステム制作及びソフトウェア制作を依頼したLawrence Ballが挙げた最初の成果をベースにしている。このシステムとソフトによって、私の3作続いたロックオペラ・プロジェクトである「Lifehouse」(The Whoの作品、1972年リリース)、「Psychoderelict」(私のソロ作品、1993年リリース)「The Boy Who Heard Music」(ウェブログ小説、2005~2006年連載)にて描かれてきた「メソッド・ミュージック」(インターネットを通じて正確に個人の意見を反映させた音楽)を実現させることが可能となった。「The Boy Who Heard Music」では3人の若者がバンド「The Glass Household」を結成する。そしてそのバンドで最初に大ヒットとなったのがこの曲だ。 MAN IN A PURPLE DRESS Mel Gibsonが2004年に監督を務めた、痛ましいストーリーの映画「パッション」(※原題は『The Passion of the Christ』、キリストが十字架にかけられるまでの最後の12時間を描いた作品)を見た後、すぐに3曲ができあがった。これはそのうちの1曲だ。はるか昔からずっと続いてきた根本的な正義に対する非難を歌ったものではない。むしろ、信者達に教えを授ける為には人は馬鹿みたいな服を着込む必要があるということがいかに下らないか、疑問を投げかけた曲だ。神の代理となる人間は着飾らねばならないと言う考えに、私は承知しかねる。もし自分が頭がおかしくなり神に代わって何かを言うことがあったとしても、私ならただそれを言うだけにして、ドラッグ・クイーンのように着飾ったりはしないだろう。 MIKE POST THEME 最近The Whoの曲がテレビ番組に使われるようになっている。それを格好悪いと感じる人がいるのはなぜなのか、何度も考えた。Mike Postは数多くのテレビ番組のタイトル曲を作ってきた人で、その曲の数々は私の生活にもコンスタントに彩りを与えてくれたと思う。彼の曲を聞いていると、人生は1日1日の積み重ねで、大変な問題を軽くする助けになってくれるのは(例えばテレビのメロドラマのような)本当にささやかな物事だということを思い出す。(※Mike Postは70年代から現在まで、「特攻野郎Aチーム」をはじめ数多くの刑事・アクションドラマの音楽を手がけたプロデューサー)この曲の背景にある大きなテーマは、我々はもう恋ができるほど強くも若くもないということだ。現実的に言えば、映画や小説、テレビドラマがあるおかげで、我々はかつて恋をしていた頃と同じように自分のありのままの感情を見せることができる。男たちはテレビや映画を見て静かに泣く。女たちはそれよりは少しオープンかもしれないが、そのような時に我々は無垢な心のままの気持ちを再認識するのだ。恋人といる時にもそれができさえすれば良いのだが。 IN THE ETHER 私の小説「The Boy Who Heard Music」ではRay Highがナレーターを務めている。ドラッグに溺れ、療養所に入ることになったロックスターだ。彼はそこで瞑想することを覚えたが、自分の意識をある地点に向かわせて安らかな心を得ようとすると、何者かが邪魔していると感じるようになった。それにはアマチュア無線や、現在のインターネットのチャット・ルームの前身ともいえる昔ながらの長波ラジオなどが使われているようだった。彼はそれ以外のものにも気づいていたかもしれないが、この曲は「精神的な存在」でいるのはどれほど孤独なことかを強調している。 もし精神的な存在になりたいと熱望している者が「無限の生命を持つ」ことを望んでいるとしたら、人生というものは一般に無限の対極にある「終わりがくるもの」なのだから、彼は深い孤独感を味わうことになるのではないだろうか? BLACK WIDOW'S EYES ラブソング。我々は時にそう望んでいないのに、またそのつもりもないのに恋に落ちることがある。前触れもなく、愚かだと知りながら。この曲の主人公はベスランの大虐殺(※2004年にロシアで起こった事件。詳しくはwikipedia参照)において子供を抱いている男だ。彼は、「誰よりも鋭く美しい瞳を持って」いながら、自らの体を吹き飛ばし彼の腕の中の子供を殺した女性テロリストについて語っている。 TWO THOUSAND YEARS 「パッション」を見た後に作った3曲のうちの一つ。ユダは決してキリストを裏切った訳ではなく、彼の指示に忠実に従ったのだという事実について歌っている。彼は我々がその可能性について気づくまでに2000年の間待ち続けた。そして我々は新たなキリストの登場を2000年間ずっと待っている。かなりの忍耐が必要だ。 GOD SPEAKS, OF MARTY ROBBINS とてもシンプルな曲だ。神は天地創造、つまりビッグバンの前には眠りについていた。それから気まぐれに目を覚まし、音楽を聞くためなら天地創造を実行する価値があると決心した。そして、何と言っても神の創造物の中で最高なものの一つはMarty Robbinsだ。(※Marty Robbinsは1950年代~70年代に活躍したカントリー界の大スター) IT’S NOT ENOUGH Bridget Bardotが出演しているJean Luc Godardの60年代の映画「軽蔑」を見ていて、最高の相手だと感じていない人をパートナーに選んでしまうのはどうしてだろうと自分が考えていることに気づいた。Bardotは恋人に訊ねる。「私の足、好き?」彼はうなずく。「胸は?」彼はうなずく。「腕は?」彼はうなずく。彼女は自分の体中すべてについて彼に訊ね、彼はその質問の全てにうなずく。最後に彼女は立ち上がって彼にこう言う。「足りないわ」 YOU STAND BY ME ロンドンにある私のスタジオで行っている、パートナーRachel Fullerの番組「In The Attic」のウェブキャスト・ライブに出演する数分前にこの曲を書き上げた。ライブで演奏する新曲が何もなかったので、1曲書くことにしたのだ。自然に生まれたのがこの曲だった。これは彼女の為の曲であり、Rogerの為の曲であり、私が完全に駄目になっていた時に私を信じてそばにいてくれた人の為の曲だ。同じく、そうしてくれた私の家族や友達、ファンの多くの為の曲でもある。私は昔からとても扱いにくい人間だったというのに。 10曲目~19曲目はミニオペラ「Wire And Glass」のフル・バージョンで構成される。 SOUND ROUND 小説「The Boy Who Heard Music」の為に作られた主要な10曲から成るミニオペラ、「Wire & Glass」の1曲目。1人の若者(若かりしRay High)が、快適なエアコンの付いた大きなキャンパー・バスに乗り、近くに巨大な発電所が建つ河口に沿った道を走っている。彼はそこで水温の上昇によって異常発生したクラゲの群れで海が埋め尽くされているのを目にする。(これはエセックス州のブラックウォーター河口で1971年に起こったことを元にしている)彼は車を止めて水面を眺め、飼い犬に棒切れを投げてやり、溺れたその犬を助ける。そして彼は空の上に未来を予見する - 生態学的にでも終末論的にでもなく、通信とコミュニケーションによって抑圧されている社会の姿を。 PICK UP THE PEACE 今や60代を迎えるロック・ミュージシャンであるRay Highは、まるで独房のような病院の一室で瞑想している。彼は近所に住む3人のティーンエイジャーと会う。彼等は他の子供達と同じようにつるみ、遊び、ふざけあい、お喋りをして、バンドを組んでいる。Rayは直感で3人がスターになることを感じる。彼等の名はGabriel、Josh、Leilaといった。(自分達のバンドをThe Glass Householdと呼んでいた)彼はそれとは全く対照的な自分自身の子供時代のシーンを目にする。同じ場所なのに、爆破されたビルと老いた兵士が並んでいる。 UNHOLY TRINITY 3人の子供達はそれぞれ全く異なる家庭で育っている。Gabrielの家庭はキリスト教を捨ててショービズの世界を選んだ。Joshの家庭は(安息日を厳守しているほど)敬虔なユダヤ教信者で、イスラエルの紛争により父親を失うという惨事に見舞われている。Leilaの家庭はイスラム教徒で、彼女もまた美しくカリスマ性のある母親をまだ幼い頃に亡くすという悲劇を経験している。彼等は空想や悩み、才能やアイデアを互いに分かち合い、深く繋がりあう友達同士となった。まるでいたずらな天使のように、彼等は秘密を共通している。Gabrielは音楽を、Joshは声を聞くことができ、Leilaは空を飛べるのだ。 TRILBY’S PIANO 未亡人となったJoshの母は、彼の弟Hymieが立派になることだけに望みをかけていた。HymieはGabrielの従姉、頭の回転は鈍いが美しいブロンド・ヘアを持つTrilbyに恋をする。Gabrielの母は他に気を取られ気づいていなかったが、TrilbyはGabrielの音楽的才能を伸ばすことに協力してきた1人だった。子供達はLeilaの父のスタジオでこの曲を使ったミュージカルを上演することに決め、それにより2人の仲を反対していたJoshの母の説得にとうとう成功する。この曲の歌い手はGabrielだ。ミュージカルは慣れない子供達のが苦労して作り上げたものだが、(まるでヴィクトリア時代の人形劇場のような)広いプロセニアム舞台に、階段と一面に天使の絵が描かれた背景幕が付いた立派なものだった。 ENDLESS WIRE ミュージカルのリハーサル中、3人の子供達はある文書を見つける。そしてそれがLeilaの父の古いスタジオ仲間だったRay Highのものだということを知る。その文書には、Rayが若い頃に目にした世界的な通信ネットワークを使用して、人々の心を一つにする力を持つ音楽を皆に広めようという荒唐無稽な計画について書かれていた。(これは私自身が考えた「ライフハウス・メソッド」のビジョンと一致する。ライフハウス・メソッドとは音楽を使って表した固有の姿を通して人々が意思疎通ができる、コンピュータによるウェブサイトだ)彼等は文書を夢中になって読み進め、自分達ならその計画を実現させることができるかもしれないと考える。 FRAGMENTS OF FRAGMENT 「Fragments」のインストゥルメンタル・バージョン。「メソッド・ミュージック」の成果の一例だ。 WE GOT A HIT 真剣な話し合いを重ねながら、3人は子供から大人へと成長し、メディアとインターネットを巧みに操るようになる。我々は彼等がテレビやラジオ、ライブ会場で演奏している姿を目にする。歌詞に出てくる「ヒット曲」とは「Fragments」のことだ。 THEY MADE MY DREAM COME TRUE Ray Highは小さな部屋でずっと瞑想しているが、子供達が有名になったことを知っていた。彼の目には、3人の内の誰かが手掛ける最も大きな、そして最後のコンサートが中止になるという未来が見える。彼は決して変わることのない音楽業界を呪う。そのコンサートが実際に開催されるか、永遠に夢のままで終わるかどうかは、彼にもはっきりとわからない。 MIRROR DOOR 3人は自分達の夢をかなえようとしている。それはニューヨークのセントラルパークで綿密に準備された子供達のコンサートを開催することだった。そのコンサートはチャリティとして世界中にウェブキャストされ、Rayのアイデアである「人々を音楽漬けにする」ことが実際に試されることになる。かつては狭い人形劇用ステージだったものが、今や巨大な広さになっている。かつてはステージ裏に続く小さな階段だったものが、今や天国にまで届きそうな大階段となってそびえ立っている。バンドが演奏を始めると、コンサートをかき乱そうとするテロリスト達が通りにあふれていることがわかったが、ステージは続いた。階段の最上段には、今はこの世にいない音楽界の伝説的なミュージシャン達が勢揃いしているのが見える。1発の銃声が響き、悲劇が幕を開ける。統合失調症の患者特有の誇大妄想に取り付かれたJoshは、治療を受けるのを止めて誰かからピストルを奪い取り、Gabrielを撃った。我々は自分自身を救うことができなかった。彼は階段を上り、死んだGabrielのそばに向かう。今でも、この一連の出来事が本当に起こったかどうかははっきりとはわからない。 この世を去った音楽界の天才として歌詞で名を連ねるうちの1人(Doris Day)は今もまだ生きているということに皆気がつくだろう。(※歌詞に登場するDoris Day以外のミュージシャンは既に亡くなっています。現代アメリカ音楽からHowling Wolf、Link Wray、Dave Van Ronk、Bobby Darin、Brownie McGhee、Elvis Presley、Buddy Holly、Eddie Cochran、Frank Sinatra、Ella Fitzgerald、Ray Charles、Johnny Cash、Johnnie Ray、Curtis Mayfield。クラシック界からWolfgang Amadeus Mozart、Ludwig van Beethoven、Henry Purcell、Johann Strauß II。フルネームが入っていない人については推測を含みます)ショービジネス界の天国において、「Mirror Door」の向こうでは誰一人として本当に死んだりはしていない。(むしろライブ後にパブに集まって飲んでいる様子に似ている)子供達の最大のヒット曲「Fragments」は、生、死、呼吸、創造、科学、物理学、数学、文学、発展などについて思い起こし、賞賛する瞬間へと姿を変える。 TEA & THEATRE 数年後、年を重ねたJoshとLeilaは一緒にお茶を飲む。時を同じくして、Joshは保護されていた療養所の小部屋がRayと隣同士になり、彼等ふたりは今度は他の患者たちと共に子供達の舞台をもう一度復活させる。彼等は自分達のそれまでの歴史と人生について一緒に深く考える。ここで推測されるのは、もしかしたらナレーターのRayは、療養所でたった今見たばかりの舞台と、かつて彼等がいつかニューヨークで、空の上で、宇宙のかなたで見たいと願った舞台とを混同しているのかもしれないということだ。 #
by yukie909
| 2006-09-27 16:23
| Endless Wire
2006年 09月 03日
[原文] 2006年9月3日の公式サイトの日記。 A Letter To America ヨーロッパツアー後の1ヶ月程の休暇を終え、アメリカへと向かう直前に書かれた日記。休暇といってもあまり休む余裕はなく、ミキシングなどの作業に追われていました。Bob Dylanの新作は気にいったようです。 息子と家族、5匹の犬たちと一緒に、池のまわりをひらひらと飛ぶ青い蝶を眺め、聞こえてくるカモの鳴き声に耳を傾け、我が家の庭でイギリスの夏の終わりを楽しむ日々も今日が最後だ。明日私はアメリカの皆の元を訪れてライブをする旅に出発する。8月を迎える直前にヨーロッパ・ツアーが終了した後、8月いっぱいはゆっくり休んで、この秋の2期にわたるUSツアーの準備ができたらと考えていた。しかしそうもいかなかった。私はThe Whoのアルバムのミキシングを終わらせ、アートワークとの組み合わせを考え、いくつかインタビューを受け、ようやく「Wire & Glass」(アルバムに収録されるミニオペラ)からの2曲のフル・バージョンを完成させた。7月にリリースした短縮バージョンを聞くか、ミニオペラをセットリストに取り上げたツアー初期のウェブキャストを見ていた人なら、その2曲がどれのことかわかるだろう。「Endless Wire」と「We Got A Hit」だ。 ずっと忙しく過ごしていた。パートナーのRachelも同様だ。我々は家で新曲を何曲か一緒にレコーディングした。どれも彼女の曲で、良い出来だ。彼女はツアー中にEP「Shine」のプロモーションと「In The Attic」での仕事を続ける為に、どうすれば最もうまく時間が使えるかずっと考えていた。私たちはできるだけ自分達らしいやり方で物事を進められるよう、そしてお互いのキャリアに相手の協力を得られるように努力している。 だが今週末はできるだけのんびりと過ごした。息子は2日間みっちりと学校の課題に取り組み、もう6th Form(※大学進学を目指す生徒が16歳~18歳の2年間に通う学校のこと)の学生だということを周りに示していた。2人の娘のうち1人とは今夜夕食を共にして、近況を語り合い、またしばし別れる予定になっている。今朝は小雨が降る中、90分歩いてたった3人にしか会わないほど人気のない原っぱで犬たちを散歩させた。そのうちの立ち話をした1人は面白い男だったが、イギリスで上演された舞台版「TOMMY」の音楽ディレクターを務めていたそうで、私はそのことに気づかなかった。 今日の日記は、自分がロック・ミュージシャンではない時に過ごしているこの心地よいイギリスの暮らしにしばしの別れを告げるようなものだ。そしてホテルや、マスコミによる質問攻めや、道端で叫ばれることと向き合い、Whoのライブに向けて安全の為にホテルに缶詰になり、ライブをする覚悟、飛行機で飛び回る覚悟、そして自分がかつてどんな人間だったか、今どんな人間か、この先どんな人間になるかについて忘れる努力をする覚悟を決めて、しばらくの間その場を埋めなければならない(?)。そうすればマドリッド公演と同じぐらい熱い演奏ができるかもしれない。 「家を離れるのが待ちきれない」というようなふりをするのはやめよう。だが「ツアーをするのが楽しみな訳じゃない」という素振りもなしだ。静けさに包まれた田園地帯で、木のベンチや野原や丘の上に座って、どちらを向いても人も建物も全く目に入らない環境で考えにふけることができるのもあと数時間だ。 昨夜BBCラジオでBob Dylanの新作を何曲か聴いた。どの曲もとても良かった。Bruce Springsteenの最新のアルバムと同じく、円熟した魅力に満ちていた。年齢を重ねることに対してBob Dylanがどのように向き合っているか、また同じように年を取りゆくファン達の心をどのように掴み続けているかについて、批評家達は好意的な意見だった。それを聞いて私は考えた。いくつかのThe Whoの曲においては私はDylanと同じようなことをしてきたと信じている。しかしまた一部の曲では、架空の若いバンドの声を借りて、とても若い時、若い時、中年の時、そして今の私よりも年を取った時と、様々な年齢の姿で話すようにしてきた。我々、つまり現在の作曲家達がこのことを考えなくてはならないと感じるのはなぜだろう?(?)Cole Porterは自身の作品が生命を持ち、優雅に、又は痛々しく、もしくは毅然として年を取っていくのを恐れただろうか?FrankとElla(※Frank SinatraとElla Fitzgerald)は年を取った自分が若者の恋についての曲を歌うのはおかしくはないかと心配していただろうか? ロックンロールとは……Dave Van RonkとRitchie Havensが伝統的なフォーク・ミュージックをゆっくりと進化させ、そこからBob Dylanが爆発的な人気を得て、意志の力だけでその形を手に入れてきたものだが……年老いた。もしロックが高齢化問題を含んでいるなら、ロックは年を取る。それともロックは今や普遍的なもので、制限や制約からは無縁だ、などといえるだろうか?大方の予想に反して私は自分のゆがんだ中年時代をなんとかやり過ごしたし、ロックは死んじゃいない。それは正しくもないし、間違ってもいない。新しい宗教でも、答えでもない、問いですらない。それは過程であり、島だ。歩み寄り、立ち去るものだ。「Wire & Glass」に登場する架空のバンドである「The Glass Household」の子供達は、産声をあげ、力を炸裂させ、ついに崩壊して、鏡でできたドアへと続く階段を上り、歩き続け、退屈なライブ後のパーティを探すよりもブラックホールの中で忘れ去られることを望むという過程を描いている。 私は今、眠くなるようなパーティから立ち去って、ドアをくぐり、階段を下りて、ステージに戻っていくような感じがしている。再び上に戻って、終わったライブを振り返ってあれこれ言う前に、下のステージでやっておかなければならないことがいくつかある。 #
by yukie909
| 2006-09-03 11:37
| diary
2006年 07月 28日
[原文] 2006年7月28日の公式サイトの日記。 Press Gang 2人の意見がまとまったのはウェブサイトについてでした。US公演が始まる前に、Rogerの考えをもっと取り入れた新しい公式サイトがオープンする予定とのことです。ウェブキャストについては7月のヨーロッパツアー終了をもって一旦中止となり、9月のUSツアー以降どうなるかはまだ未定です。 ああ!新聞記者達め。彼等は朝食の間に私の日記をくまなく読んで何やら想像を巡らせ、それをユーモア感覚あふれる副編集長か誰かが作った見出しに沿うような文章に組み立てたようだ。 私がウェブキャストの価値に対するファンの意見を知ろうと試みたこと、そうすればRogerに的確な見解を伝えられると考えたということを今日正しく理解してくれたのは、British Times紙だった。だが私は決してウェブキャストを中止することになって「ふてくされている」訳ではない。私はウェブキャストを進めることをためらうRogerの複雑な感情を尊重している。しかし勿論それが私を苛立たせているのも確かで、The Whoはひとつのパートナーシップであり、我々2人のどちらも我々にとって必要なものが何かを正確にはわかっていない。 私はインターネット・ジャンキーだ。昨夜マドリッドで遅くまで起きている元気なスペインのファン12人ほどと会ったが、彼等とはブログや私の「In The Attic」出演を通してのウェブ上のやり取りしかしていない。このような人々について、2通りの見方がある。ライブチケットを買い、私をアーティストとして無条件に支持してくれる本当のファンか、最近Janet Street Porterが非難していたような、「悲しい人種」としてブログに熱中している者たちか。(※Janet Street Porterは英国Independent紙の編集者で、7/23付の同紙のコラムでブログを持っている人々を『無教育で、陳腐で、他に表現の場がない寂しいオタク達』と評しました)どちらであっても、我々は楽しい時間を過ごし、通じ合い、元気に生きている。大騒ぎしている20,000人の大観衆の前でライブをしている時、私は一部の観客と親密につながっている感覚もまた覚える。マスコミにとって「悲しい」のはただ一つ、それが彼等にとって全く金にならないということではないかと思う。 Rogerと私の間でウェブキャストについて何らかの合意が成立するまで、それを進めるのは止めることにする。ウェブキャストがどのようなものかをはっきり示せば、Rogerはきっと支持してくれるはずだと私は真剣に考えていた。しかし後悔はしていない。今までの経験は私にとってとても価値のあるものとなったし、資金を出せる限りだが、私はこの先ずっとアート関係のライブ映像のウェブキャストを続けることができるだろう。そう確信している。 www.thewho.comもまた、明後日に閉鎖する。これについても、腹いせや怒りによってそうする訳ではない。同サイトはウェブキャストの計画の一部として機能する予定であったものであるし、ウェブサイトについてはRogerがサポートを手伝うことに同意しており、優秀なウェブマスターが見つかり次第、Rogerのアイデアを数多く取り入れて全面的にリニューアルした新しい公式サイトが開設されることになっている。この新サイトは、9月から始まるUSツアーの初日よりも前に必ずオープンする予定だ。 #
by yukie909
| 2006-07-28 11:30
| diary
2006年 07月 28日
[原文] 2006年7月28日の公式サイトの日記。 Roger and Pete in Madrid Rogerとの関係が悪化している訳ではないことを強調し、問題となっているウェブキャストとウェブサイトの件のうち、1つについてはRogerと意見がまとまりつつあると報告しています。また、マドリッド公演は大成功に終わったようです。 私はThe Who関連のチャットルームやブログで私の最近の日記がどのように取り上げられるかを予測しておくべきだったと思っている。 「戦争中」なのはレバノンとイスラエルであって、RogerとPeteではない。 Rogerと私は我々が意見が合わないという点において意見が一致する。いつでもそうだった。 1つの件においては、合意がまとまりそうだ。 史上初のスペイン公演となる、今夜のマドリッドのOlympic Hall公演は我々の新しいキャリアの中で最高のライブとなった。目を見張るような大観衆が集まり、その上彼等は今までの観客の中で最も我々の音楽を知り抜いていた。 今のThe Whoは昔のThe Whoではない。昔のThe Whoに戻るなどとは一度も言ったことはない。全く違うものだ。そこが重要なところだ。観客の反応と歌声の力によって今夜のライブは力強いものになっていた。 またマドリッドに戻ってライブをする日が待ち遠しい。この点についてもRogerと私は合意するだろう。 #
by yukie909
| 2006-07-28 09:45
| diary
2006年 07月 25日
[原文] 2006年7月25日の公式サイトの日記。 thegreatevilweb@hotmail.com 前回の日記でRogerへの意見を書いたメールを募集していましたが、すぐに多数のメールが集まったようです。これらのメールの中で有効な意見が書かれているものが選ばれ、Rogerとの話し合いに使われることになりました。 thegreatevilweb@hotmail.comのアドレスはもうメールボックスが一杯になった。これ以上の意見は必要ないだろう。250MB分のeメールのうち、「無料ライブ映像」について否定的な意見はたった2通だった。1通はチケットが$250もすることについて不平を言っていた。多分もっと安いチケットがあるはずだと思う。もう1通は音楽出版社からのもので、彼等はすでに我々の曲の全ての権利を持っていて、我々にはそれを無料でばらまく権利はないと主張していた。 届いたeメールの中からいくつかを選んでRogerが読めるように印刷し、2人でこの問題について話し合うつもりだ。 thewho.comがこれを最後に消えてなくなるのではないかと心配する声もあった。ただ単にwww.petetownshend.comの内部から移動するというだけのことだ。このサイトがどうなるかまだわからないが、今後どのような措置を取るか、Rogerと私の意見をまとめなければならないだろう。 #
by yukie909
| 2006-07-25 17:15
| diary
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アバウト
Things He Said Todayについて
ピートの考えが伝わってくる文章を翻訳しています。現在のところは過去の日記を訳した文章のアーカイブが中心となっています。
翻訳のプロでもなんでもない、そこらへんにいるただのザ・フーファンが英辞郎とGoogle等を頼りにちくちくと訳しているだけなので、「ここに載っている訳文=ピートの言いたいこと」と思い込むのは大変危険です。一つの参考としてどうぞ。以下備考など。 ★最初に必ず原文へのリンクを明記しています。(ただし、現在はそのほとんどがアクセス不能となっています) ★青い文字の部分が訳文です。文中に黒い文字で(※○○)とあるのは、原文にない説明をこちらで付け加えたものです。 ★意味がよくわからなかった部分はとにかく無理やり訳した上で「(?)」をつけています。 ★あとから読み直して変えたくなった部分はばんばん修正します。 ★ずっと人名やバンド名を英語で表記してきましたが途中からカタカナ表記に変えました。過去の分まで遡って直すのはもう諦めたので統一されていないのは大目に見て下さい。 (姉妹サイト) WHO's Generation カテゴリ
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