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2005年 06月 02日
2 Jun 2005 / A Tale of Summer in Two Cities
[原文] 2005年6月2日の公式サイトの日記。
A Tale of Summer in Two Cities
NYのライブの様子と自分がそれを楽しんだということ、Michael Jacksonについての思い出と無罪が確定してよかったということ、LIVE8出演決定までのいきさつや色々な思い、自伝「Pete Townshend (who he?)」の執筆は半分終わり、今年か来年のはじめには完成できそうだということ、「The Boy Who Heard Music」も作成中であること、The Whoについては現在作っている途中の曲や映像、歌詞、写真などが入ったRoger専用のDVDを準備中であること、The Whoのニューアルバムは自分達が健康でいる限り完成させることができるはず、というようなことを語っています。


正確にいえばこのエントリーは日記ではない。私のところのようなウェブサイトでなぜこういった記事が「日記」と呼ばれているのかわからない。「マスターベーション」と呼んだ方が適切かもしれない。
さて先週、Rogerと私はSamsung社の幹部や関係者の男女400人に向けて演奏する為にNYのGotham Hallに向かった。Gotham Hallは古い銀行で、巨大な楕円形の部屋は音響がよく、NYのペンステーション程も高い天井には金箔が張られていた。私の楽屋は古い金庫室の隣にあったが、その金庫は厚さ2フィート、幅はハマー
(※アメリカの高級車)でさえ余裕で通れるほどの大きさの扉で守られていた。50トンの立派な扉はチャリティ・ イベントに相応しいと思っていたら、それは開けっ放しのままだった。
Samsung社は子供達を助けるチャリティの数々をサポートする為にFour Seasons of Hopeを創設した。この組織にはプロゴルファーのArnold Palmer、そしてJon Bon Joviも関係している。今年私達に当番が回ってきたのは、恐らく私達のマネージャーであるBill Curbishleyが、新たに私達の友人となったArnoldが世界中に2万箇所ほども設計したゴルフ・コースのうちのひとつでプレーを楽しんでいる時に出演を請け負ったからではないかと私達は踏んでいる。

観客は寛大な、そしてやや懐疑的なビジネスマンが多かった。彼等のうちの一部は、見事なレアに焼き上げられた(そして実際には食べない)トルネードステーキをサーブされ、自分達をThe Whoと称する60歳の年寄り達の歌を聞く為に、1テーブルにつき3万ドルもの大金を支払っていた。私はこのイベントを楽しんだ。Rogerは私の最新の曲Real Good Looking Boyを、私もキーボード役及び
(※打ち込みの為の)メモリースティック役で参加してくれたJon Carinも抜きで、彼ひとりで歌い上げた。Rogerが自分でギターを弾いて歌う時は、やさしく味わい深い、デリケートな声になる。40年の間、ロック界で最も騒々しいバンドの中で自分の歌が何とか観客に届くように張り上げてきた声とは似ても似つかないものだ。それはめったに聞くことができない、まるで the Tornado(※竜巻というより、何かの固有名詞?)のような貴重なものだったが、観客の心を掴んでいた。(※"rare tornado steak"=『レアのトルネードステーキ』と、"a rare treat, like the Tornado"=『まるでTornadoのようにとても珍しいRogerの声』をかけています。なおトルネードステーキとは牛フィレ肉をベーコンで巻いて焼いたもの)

その前日、陪審はMichael Jacksonを無罪とし、またひとつ不条理な有名人の裁判が終了した。この頃私達「有名人」はまるでリアリティーショー(※アメリカで人気の、一定の設定の中での出演者たちの行動を観察する番組)の中で生きているようだ。Michaelが無罪となって良かったと思っている。私は彼が子供と一緒にいる時に居合わせたことがあるが、どの時も彼は無私な態度で子供たちを助けていた。ある時、彼は私の友人の娘が通っている特殊学校のダウン症の子供たちの為にサーカスを呼び、彼自身も姿を見せて、幸せそうに、そしてまるで自分も小さな子供のように興奮しながら子供たちと一緒にサーカスを見ていた。友人の娘は将来自分はMichaelと結婚すると信じこんでいたが、彼は幼い彼女を未来の妻のようにとてもやさしく隣に座らせていた。彼の羽根はきっとひどく焼け焦げてしまっただろうし、他の部分も傷だらけになってしまっただろうが、それでも彼はどこか天使のようなところのある人間だと思う。

LondonでSamsung社のライブのリハーサルをしていた時、Bob Geldofがティーンエイジャーのような口調の携帯メッセージを送ってきた。彼は若い女の子に囲まれて暮らしているため若者言葉を喋るのが上手い。
「R U doin Live8? LOL Bob g」
(※蛇足ながら訳:"Are you doing Live8?" ライブ8に出るかい? ※LOLは"laughing out loud"の略で(笑)のような感じ)
私は彼にはわかっているはずだと考えている自分に気づいた。私はこう返信した。
「RH 4 NY charity gig. Will talk 2 Rog. Later. PT」
(同: "Now I'm rehearsing for NY charity gig. I will talk to Roger. I'll answer you later" NYのチャリティライブのリハーサル中なんだ。Rogerに相談してみる。後で連絡する)
ずいぶん子供っぽいやり取りに思われたが、私はこの返信は我ながらなかなかうまくできたと思っている。

Rogerは最初乗り気ではなかった。「このイベントで集められる金は長期的に見て本当に役立つのか?ただRobert Mugabe
(※ジンバブエ大統領)に新しいジャンボジェット機を買い与えることになるだけではないのか?」等と心配していた。もしかしたらRogerはこっそりThe Spectator誌(※イギリスの伝統ある評論雑誌)か何かで記事でも書いているのではないだろうか。全く、彼はこの頃やけに頭が回りシニカルで、お堅い人間になってしまった。だが彼は突然それらの心配事を脇にやり、「知ったことか、やろうぜ!」と言った。どうせThe Spectator誌の読者なんて12人しかいないはずだ。私を含めて。

君達はアフリカについて何も知らないじゃないか、同じようなイベントを2度繰り返しても物事は悪くなるばかりだ、とひねくれたジャーナリストに責められたとしても、Rogerと私は無視することにした。そしてただThe Spice Girlsに会う為にライブをしようと考えた。するとBob Geldofが彼女達から出演の承諾をもらえていない、とアナウンスした。彼女達はオファーすら受けていないし、出演や再結成など考えたこともないと主張している。しかしタブロイド紙は、彼女達が現在まさしくThe Whoが行っているのと同じ再結成をすることによって、現在不調なソロ活動(美容整形で?)を活性化したいと心から望んでいると報道している。そして正しいのはタブロイド紙の方なのだろう、何しろタブロイド紙の読者は
(※The Spectator誌と違って)12人以上いるのだ。私達のバンドは世界中に知られているのだから、RogerがたったひとりでReal Good Looking Boyを歌い上げ私がその様子を惚れ惚れと眺めるという図が、世界を揺るがし注目を集めるステージになり得るかどうか見てみるのも面白いだろう。あの、BBCがトラブルによりWon't Get Fooled Againの映像を半分もカットした1985年のライブエイドに匹敵するような。

誰一人気づいていなかったようだが、1985年のライブエイドの写真では、私はその場にいた人間の中で唯一、良識ある昔ながらのスタイルで髪を短くカットし ていた。そのうえ確かにとてもハンサムに見えた。David Baileyが撮影し、Caprice
(※Diana妃も足繁く通ったというロンドンにある高級レストランの名前?)の男子トイレに飾られた写真などは特に。なぜこんなことを言い出すかというと、音楽的な面で言えばあのイベントでThe Whoは当時ちょうどツアーの真っ最中だったQueenに完全に負けていたからだ。そして今回のライブ8では、ANC(※アフリカ民族会議)による変革に対するロック界からのスタジアム級の回答をしている真っ最中のU2に同じように場をさらっていかれるのは明らかだ。ではThe Whoの場合は今一体何の真っ最中なのか?答えは「休息」だ。再びの休息。私は、また私のような髪型が流行する気がしている。それが本当に自慢できることなのかよくわからなくなってきたが。

ライブ8はThe Whoが今年行うライブで最も大きなショーになるだろう。もしくは今後また誰かからオファーが来ない限りは今年唯一のライブになるかもしれない。The Whoのキャリアはかなり低迷しており、どうしても盛り返す必要がある。私はこの文章を深夜2時半に書いている。キャリアについていろいろと思い悩み、眠ることができない。私は心配事を抱え込んでいる。それは確かだ。

60歳の誕生日を迎える前に、自伝「Pete Townshend (who he?)」の最初の半分を書き上げた。編集者に委ね、将来それを世に出してくれる予定の出版社の元にわたる準備ができている。今年中か、来年早々に完成させるつもりだ。また、新しいソロ作品「The Boy Who Heard Music」の作業も進めている。このタイトルでは自伝的なストーリーの作品に見え、誤解を招きそうだ。これは少年ではなく架空のコンサートについての物語であり、私自身の人生よりもLifehouse(詳しくは私のサイト内の別コンテンツを参照のこと)の脚本に近い。だが私もかつては少年だった。よって部分的には私自身についての作品とも言えるかもしれない。全く恥ずかしい話だ。

それよりもっとThe Whoファンにとって興味をそそられることといえば、私は今月Rogerひとりが見るためのDVDを用意している。私がこれまで録音してきた曲、制作中の曲のデモ、私が様々な曲を歌っている映像、歌詞や写真などで構成されている。このDVDを見ることで、昨年9月にスタートしたThe Whoのニューアルバムの制作について、私の作業の遅れによって全てが台無しになった訳ではないということをRogerがわかってくれるよう願っている。私達が健康でいる限り、作品は完成するはずだ。

もう3時になってしまったので、眠らなければ。私は今Simon Grayの『THE SMOKING DIARIES』を読んでいるところだ。眠れない時にはこの本は読まない方がいい。止めることができなくなってしまう。65歳でぜいぜい息をきらせて、1 日60本の煙草を吸いダイエットコークをがぶ飲みするGrayの姿は、Bob Geldofが確かに元気であると思わせてくれる。しかしBobと同じく、Grayはこの時代に生きる結構な年齢の現代人で、彼の書くものは現代が抱えている素晴らしい不安と、戦前の崇高な威厳が持っていた不安とを結び付けている。彼はまた、苛立っている時でも完全に平静を装い続けている様子が本当に面白い。

平静、それはリハビリテーションと 12ステッププログラムのワークショップにおけるキャッチフレーズだ。平静は楽観よりも程度が高い。同じく、充足は度胸よりも、ユーモアは正直よりも、そして威厳はパワーよりも上だ。私はライブ8が大きな成功を収めることを願っているが、同時にこのイベントが平静と威厳と共にあり、本当にアフリカの友人達の助けになってほしいと思っている。Bobによるとひどい困窮の為にゆがんだ表情が既にユーモアなど超越してしまっている彼らが、ひとときでも充足の時を得られるように。彼らが現在持っているものの2倍ではどうだろう?
(?)
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by yukie909 | 2005-06-02 01:48 | diary