2007年 01月 04日
[原文] 2007年1月4日の公式サイトの日記。 Shouting Grasshoppers インタビュー掲載の12回目では、これまでのマスコミの取材と違ってファンからの質問に答えています。Peteの説明に出てくるtheShout.netは主にアメリカのThe Who(特にPete)のファンが集まる掲示板です。登録申請をして承認されなければ閲覧や書き込みはできません。 (Grasshoppers達の集まり「theShout.net」から寄せられた質問をDave Carterが私に送ってくれたので回答した。Daveも質問してくれた皆もどうもありがとう。普通のインタビューで聞かれる質問とはやや異なっており、Wise Oneこと私はご覧の通りいくつかの質問に答えるのに相当苦労した) [Q1. 貴方のここ1年の写真の多くはにっこりと笑った表情をしていますし、これまでの人生の中でも良い1年だったという発言を何度もしています。Pete Townshendにとって2006年はかつてない良い1年だったと言えますか?] (質問の内容とは正反対の表情で)ノー。私は幸せだが、The Whoや2006年について言えばそれほど幸せだった訳ではない。今のところ幸せな気がするというだけで、その気分を楽しんでいる。 [Q2. 「ENDLESS WIRE」のライナーノーツで、貴方はEric Claptonと電話で話したことについて触れていました。どのような心配事があって貴方は電話をかけたのですか?そして彼の「断固とした、揺るぎないアドバイス」とはどのようなものでしたか?] もし彼が言ってくれた言葉を詳しく説明したいと思ったのなら、そうしていただろう。私は他人の好奇心をかき立てるつもりはなく、ただ彼に感謝の気持ちを伝えたかっただけだ。(※ライナーノーツの翻訳はこちら) [Q3. 貴方が2006年のツアーの前にほのめかした「名案」とは何だったのでしょうか?] あまりにもうますぎる方法で、どのようなものか忘れてしまった。(※「名案」に関する日記の翻訳はこちら。cunningには狡猾な、抜け目のないといったニュアンスがあるようです) [Q4. 新しいThe Whoのアルバムやシングルをリリースする予定はありますか?] 予定はない。何も約束できない。今回のツアーは来年までかけて様々な方向に向かう。80年代初めに私の頭がおかしくなりそうだった、終わりのないツアー地獄をまた繰り返す気はない。 [Q5. 「The Method」計画の進行状況はどうなっていますか?それにより最終的にどのようなライブ・パフォーマンスがされるのか、ビジョンを聞かせて下さい] 近いうちにベータテスト用のウェブサイトを更に拡大して立ち上げることを予定しているが、まだ具体的な日程は決まっていない。ウェブデザイナーがシステムを微調整しているところだ。このサイトの最初の集大成となるはずのライブイベントは、パフォーマンスというよりは祝いの会になるだろう。この計画は、個別の音楽の一片を数多く集め、しかるべき会場で映像(そして生の音楽)とともに演奏するというものだ。我々が採用した音楽を提供してくれた人々には、このイベントに出席して楽しんでもらいたいと考えている。(※Methodに関する日記の翻訳はこちら) [Q6. 2002年のツアーではRogerと貴方の2人で「Naked Eye」をアコースティックで演奏しましたが、新しいCDに2人だけのアコースティック演奏による曲がいくつか収録されているのは、2002年の試みがうまくいったからですか?] いや、違う。私が「In The Attic」で行ってきたことの方がより直接的に影響している。ロックとして名曲となり得た作品なら、勇気さえあれば本当にシンプルな形で演奏しても素晴らしい効果を生むことができるということを私は「In The Attic」で教わった。そのことはいつでもわかっているつもりだったし、Rogerも同様だったと思うが、自分達の持ち味を存分に引き出せるロックという決まった形に2人とも固執する傾向があった。我々は爆音を発するバンドの後ろに隠れていたのかもしれない。アコースティックではありのままの姿が見えてしまう。 それから、2005年にニューヨークで行ったチャリティ・イベント「Samsung's Four Seasons of Hope」で、Rogerが「Real Good Looking Boy」を演奏した。彼は1人でアコースティックギターを手にステージに立った。彼が私の曲を観客に聞かせる、その歌い方に私はとても心動かされた。しばらく頭を離れなかった。曲がRogerと一心同体となっていた。そこで私はこのような方法、特に自分1人での弾き語りという形でのステージをすることをRogerに勧めていこうと決めた。 [Q7. アルバム「QUADROPHENIA」に収録されなかった曲は一体どうなってしまったのですか?アルバムが4枚作れる程の曲があったと当時Rogerがマスコミに語っていたようですが。] アウトテイクの一部はボーナストラックやデモの形でリリースされている。アルバム4枚分の曲があったかもしれないが、Rogerがそう言っていたのはアナログレコードの時代だったということを忘れてはいけない。そのことを考慮したとしても、Rogerが本気でそう言った訳でも、自分の言葉を信じていた訳でもないのは確実だ。そういえば私は少し前に「QUADROPHENIA」のリミックス作業をスタートしたのだが、その時に新しい曲を追加することを検討した。しかしすぐに「完成作業」が不要なことに気がついた。このアルバムに手を加えるところはなかった。完全な作品だったなどというつもりはない、だが楽曲を加えたり、物語を変えたりして「改良する」必要性は感じなかった。この作品は物語性のあるロックオペラというよりも、The Whoによる詩という意味合いを持っていた。女の子とうまくいったかどうかではなく、はじめての挫折を味わったときに我々が感じたことに目を向けた作品だ。 [Q8. The Whoの残した最も大きな功績とは何だと思いますか?] 「TOMMY」。全ての元となったデモ、アートワーク、オリジナルアルバム、バレエ版、映画版、オーケストラ版、マーチングバンド版、ブロードウェイ版……その全てが素晴らしく、制作に関わっていて楽しかった。同じことをもう一度やれと言われたらやれるし、死ぬまでにきっとあと何回かはできるだろう。 [Q9. 今回のツアーでは、貴方はこれまでになく愛想が良く、近づきやすくなっているようです。とうとう貴方自身が人々の人生に大きな影響を与える存在だということ、貴方の曲にこめられた痛みが彼等の多くを救ったということを受け入れたのですか?] 質問の意図がわからない。私が人々の人生に多くの影響を与えてきたことは確かだし、そのことについては受け入れている。質問者を傷つけたくはないが、それを受け入れたからといってなぜ私がより近づきやすい人間になったという考えに至るのだろう?つまり、私のプライバシーが確立され、容易に近づけない状態にあるということは、ファン達と私の仕事とのかかわりという面で重要なのかもしれない。私の曲にある痛みが誰かの心を動かしたのだとしたら、それはきっと本人の痛みがそうさせたのであって、私自身の痛みによるものではない。私を実際に知っている訳ではない人々に、どうやって私の痛みがわかるというのだろう。私は痛みを感じているか?これまで痛みを感じたことがあっただろうか?それについてはイエスだ、しかし私は自分の作品の中でその痛みをはっきりと表現することをずっと苦手としてきた。私が得意としているのは、他人の痛みに触れることだ。それができる自分を、解放と喜びを生み出すことができるということと同じく時々心から誇りに感じている。プライバシーの問題というのは全てのアーティストにとって悩みの種だが、特に曲を作るものにはそれが顕著だ。私は過去のインタビューではとても愛想良く振る舞い、ライブの後にバーで愛想良く会話を交わすのはJohn Entwistleに任せてきた。現在、私は彼が担ってきた役割をささやかにでも引き継ぐよう努力して人々に会うようにしているが、それが良いことかどうかはっきりとはわからない。私のパートナーRachelはとても社交的で、彼女が主催している「Attic Jam」のライブではできるだけファンにとってより身近な存在になれるようにしている。「Meet & Greet」チケット(※通常のチケットより高い、PeteやRachelと直接話すことができる限定のチケット)は、将来のリリースに備えてライブの撮影とレコーディングを行うコストをカバーする方法として私が提案したものだ。その為に大きな時間を割くことができるとは思えないので、ファンと直接会うことを心から望んでいる訳ではないことを認めなければならない。 [Q10. 最後に「Mirror Door」について伺います。貴方はバッハ、モーツァルト、ベートーベンの名を「あちら側にいる」魂として挙げました。ロックンロールは175~200年後も消えずに残るでしょうか?貴方や貴方の仲間が創りだした音楽は、現在におけるクラシック音楽と同じようにその頃もライブで演奏されていると思いますか?] もちろんロックンロールの一部は残るだろう。このことについては私はあまり興味をそそられない。「TOMMY」は残るかもしれない、それがどうした?日中に携帯充電器のコンセントを抜くことの方が未来の子供達にとってもっと意味があるだろうということは明らかだ。(※携帯充電器についての参考記事はこちら) [Q11. もう1問だけ遊びのつもりでお願いします。インターネットが普及したおかげで「史上最高のロックバンドは何か」といった議論がより白熱しました。次のアーティストに対する貴方の率直な意見は?「Spinal Tap」「The Rutles」「Tenacious D」] それらのアーティストは皆なくてはならない歴史的文書で、彼等なしには我々はロックスター達が持つうぬぼれや尊大さ、馬鹿馬鹿しさを見て笑うことができなかっただろう。(※それぞれパロディ・バンドや架空のバンド。詳しい説明は以下のリンク先をご参照下さい。Spinal Tap / The Rutles / Tenacious D)
by yukie909
| 2007-01-04 11:22
| diary
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Things He Said Todayについて
ピートの考えが伝わってくる文章を翻訳しています。現在のところは過去の日記を訳した文章のアーカイブが中心となっています。
翻訳のプロでもなんでもない、そこらへんにいるただのザ・フーファンが英辞郎とGoogle等を頼りにちくちくと訳しているだけなので、「ここに載っている訳文=ピートの言いたいこと」と思い込むのは大変危険です。一つの参考としてどうぞ。以下備考など。 ★最初に必ず原文へのリンクを明記しています。(ただし、現在はそのほとんどがアクセス不能となっています) ★青い文字の部分が訳文です。文中に黒い文字で(※○○)とあるのは、原文にない説明をこちらで付け加えたものです。 ★意味がよくわからなかった部分はとにかく無理やり訳した上で「(?)」をつけています。 ★あとから読み直して変えたくなった部分はばんばん修正します。 ★ずっと人名やバンド名を英語で表記してきましたが途中からカタカナ表記に変えました。過去の分まで遡って直すのはもう諦めたので統一されていないのは大目に見て下さい。 (姉妹サイト) WHO's Generation カテゴリ
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