2004年 04月 01日
April 2004 / Uncut interview:The truth about The Who, Tommy and me (preface)
[原文] Uncut誌2004年4月号に掲載されたインタビュー。
The truth about The Who, Tommy and me (preface) (雑誌掲載記事の為、リンクなし)
※Words by Simon Goddard
2004年はじめに行われた「TOMMY」がテーマの長いインタビュー。ロッキング・オン誌2006年4月号にも全訳が掲載されています。ただしここで訳した前置きの部分や、本文中でも特にインタビュアーの主観が見られる部分等はカットされていました。
2年前に翻訳して他の場所で公開していたものですが、今回アップするにあたって多くの部分を直しました。


彼は遅れてきた。そして私の周りの皆がしきりに恐縮した。Uncutの記者をたっぷり30分以上待たせてようやくPete Townshendが トゥイッケナム・スタジオに到着した時、彼がわざわざ謝ったからだ。彼の弁明?「ガールフレンドと食事してたんだ」というものだった。離れたミキシングルームへと私を案内し、息を切らせて階段を上りながら彼は続けた。「そして現代のポップ・ミュージックが持つ問題点について議論しあっていた。時が経つのも忘れてしまったよ」私は彼に気にしないでほしいと言った。たった3分間という最も短い革命の数々を生み出してきたこの人が、長い時間が経った今もなおその手段について大きな関心を寄せているということを知って安心しながら。「本当に申し訳なかった」彼は繰り返した。

小さな防音のミキシングルームは壁の全面がガラス張りになっており、下を流れる川を素晴らしいパノラマ・ビューで眺めることができる。Townshendがインタビューの場所としてこの部屋を指定したのは、彼がこの眺めを気に入っているからだと私は思い込んでいたが、実際には彼は特別な理由があってこの場所を選んでいた。12ヶ月前、まさにこの部屋で伝説的なロックオペラ「TOMMY」が1969年ステレオマスターから5.1chサラウンドバージョンにリミックスされたのだった。「この部屋でテープを聴いて軽くショックを受けたよ」彼は後に語った。「俺が覚えていた音と違うんだ」

我々がコートを脱いで腰掛けたばかりの時には、その最も待ち望まれた「TOMMY」のリマスター作業について、きっと純粋に2004年5月に迎えるリリース35周年を記念して行われたに違いないと私は考えていた。「そうじゃないんだ」彼は携帯電話をミキシング・コンソールに置きながら訂正した。「去年逮捕されて他に何もやることがなかったからさ」彼の声はやや小さかったが、穏やかだった。「ただそれだけの理由だよ」

Peteの広報担当によると、今回の取材は英国の音楽メディアでは逮捕後初の直接のインタビューになるということだった。彼は落ち着いて対処できるeメールでの取材を好む。(我々が前回彼とコンタクトしたUncut誌68号のインタビューも同様だった)また、我々は「逮捕」について触れないよう事前に求められた。彼は2003年1月にポルノサイトにアクセスする為にクレジットカードを使ったことを認めてスコットランドヤードに取り調べを受けていた。

「2、3ヶ月待たなきゃいけないってことがわかっていた」彼は椅子にくつろぎながら言った。「警察が俺の家からコンピュータを12台持っていってしまった。彼らは1ギガ確認するのに1週間かかるだろうから、いつまでも終わりそうもないし、こっちは仕事にならない。クソ、何ができるだろう?って思ったんだ」

まるで運命のように、取り調べと「TOMMY」のリマスターの依頼が同時にやってきた。Townshendはただちに承諾して、警察がせっせとハードディスクから情報を取り出している4ヶ月の間作業に集中し、魔女狩りに沸き立つタブロイド誌の攻撃をかわすよう努めた。Townshendは自分が有害サイトにアクセスしたのは純粋に調査の為であり、インターネット上に児童ポルノが蔓延している危機感を伝える目的であったと常に主張してきた。裁判所は2004年5月にようやくその主張が認めて彼をホッとさせたが、法律の一環として警告が与えられ、彼の名は英国の性犯罪者リストに今後5年間登録されることとなった。レコード会社からの注意は別としても、私は今回Townshendに逮捕の件を持ち出してもらうつもりはなかった。その件は「TOMMY」とは全く関係がないのだから。少なくともインタビュー前にはそう考えていた。

「だから、リマスターに取り掛かった理由はそういうことだ」彼は続けた。「だが、感情の源泉に立ち戻らなくてはいけないと俺が考えたのもまた理由の一つだ」彼はしばらく黙り、慎重に言葉を選んだ。「TOMMYは俺の傷けられた子供時代の形跡を見つめ直す為のスタート地点だ。俺が目を背けて気づかないふりをしていた過去を」

それから彼はその後90分かけて、逮捕にまでつながってしまった自分自身の児童虐待の被害者に対する強いこだわりと「TOMMY」という作品とは、切っても切れない関係にあるということについて説明してくれた。ロックオペラというものを打ちたて、The Whoを破産から救いだし、それどころか大金持ちにし、ハリウッド映画やブロードウェイのミュージカルにまで広がり、そして彼の言葉を借りればこの素晴らしきイギリスのロックンロールバンドを結局は「破滅させた」アルバム。それが「TOMMY」だった。


(Chapter 1に続きます)
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by yukie909 | 2004-04-01 03:36 | article


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